教会暦のお祝いの時

 

アドヴェントに

愛する天の父なる神様、あなたに願います。

どうかダヴィデの子、愛する御子イエス・キリストに、
御国での幸いと栄えをお与えください。

あなたの御名によって、
イエス様が私たちのもとにも来てくださいますように。
そうして、あなたの御名に祝福が帰され、栄光を受けられますように。

私たちを守り、私たちに恵みをお与えください。
それにより、私たちが、喜んでキリストを迎え入れ、
「ホサナ、神様に祝福が帰されますように!」と賛美を歌う
「小さな群れ」となりますように。

また、私たちがこの王をいただくキリスト信仰者となり、
周囲からも「キリスト信仰者」と呼ばれる者となりますように。

私たちは我らの王キリストに基づいて
「キリスト信仰者」という名をいただいています。
私たちは、この方の御名によって洗礼を受け、
この方の血によってきれいに洗っていただいたからです。

私たちがキリスト信仰者であり続け、
愛する御子の再臨の時に、
喜んで御子を迎える支度を整えて、目を覚ましていられるように、
どうか助けてください。

また、私たちが、
我らの主、あなたの御子イエス・キリストを通して、
純粋な心であなたにお仕えすることができますように。

アーメン。

「ルターの祈りの本」の目次へ


クリスマスに

愛する主なる神様、
愛する御子が肉体を持ってこの世に生まれてくださった
という出来事に私たちを結びつけ、
私たちがそこに留まりつづけることができるように、
どうか助けてください。

また、
私たちが罪深い「古い人」としてこの世へと生まれてきた事実から、
どうか私たちを引き離してください。

主イエス様、
私たちの誕生を私たちから取り去って、
あなたの生誕の中に埋め込んでください。
あなたの生誕を私たちに贈り物として与えてください。

そうして、
あたかもキリストの生誕が私たち自身の誕生であるかのように、
私たちがキリストの生誕の中で清められ新しくされますように。

また、
私たち一人一人があなたの生誕を喜び、誇りとしますように。

あたかも私たち一人一人が、あなたと同じように、
母マリアから肉体を持って生まれたかのように思い、
あなたが完全に「私たちのもの」であり、
私たちのために生まれた子どもであり、
私たちに与えられた御子であることを信じることができるように、
どうか私たちの信仰を強めてください。

全能の神様、
聖シメオンが御子の身体をだっこして、霊的な目で見つめ、
「この方が御子だ」とわかったのと同様にして、
私たちが愛する御子のことを知って賛美できるように、
どうか私たちに恵みをお与えください。

愛するシメオンのように、
感謝の賛美を歌う恵みを私たちにも貸し与えてください。
そして、私たちも、
私たちの主、あなたの御子イエス・キリストを通して、
安らかにこの世を去っていくことができますように。[1]

アーメン。

[1] ルーテル教会の礼拝式文では、
派遣の部の「ヌンク・ディミティス(今こそ去ります)」に、
このシメオンの言葉が用いられています。
”Nunc dimittis servum tuum” というラテン語文は、
「今こそあなたはあなたの僕を去らせてくださいます」、
と訳せます。

「ルターの祈りの本」の目次へ


新年の祈り

天のお父様、

御子のお名前が「イエス」であり、
この方が最悪の悲惨の深淵から、
すなわち罪から助け出してくださる「救い主」であることを、
どうか私たちに教えてください。

人という罪深い存在が全員、この御名を知ることができるように、
どうかなさってください。

この方は、「イエス」というお名前の通りに、
人々を罪と永遠の死と悪魔の帝国から助け出そうと望んでおられます。
彼らはこの方を必要としています。

この方が私たちを助けてくださるときに、
私たちは真の助けを受けています。
なぜなら、
皇帝も父親も母親も医者も他の誰も、天使でさえも、
そのような最悪の状態から
私たちをちゃんと助け出すことはできないからです。
ですから、
この世に関わる事柄についてはどのようなことになろうとも、
私たちがあなたからの永遠にわたる助けに満ち足りるように、
どうかなさってください。

アーメン。

「ルターの祈りの本」の目次へ


顕現日(1月6日)に

主なる神様、天のお父様、
あなたは御子を私たちに救い主として用意してくださいました。
それは、御子が異邦人の光、ユダヤ人の栄光であるためです。

私たちはあなたに祈ります。
私たちの心を照らしてください。
私たちが、
御子の中で私たちに示してくださった恵みと
父親らしい御心を知って、
御子を通して永遠に救いの喜びにあずかれるようになるためです。

自然に基づく知恵と、あらゆる人間の知恵、
すべての異邦人の技術、人間が考え出した教えは全部、
まったくの暗闇に等しいものです。
だからこそ、この光が来られる必要があったのです。

神様にふさわしい栄光が不幸なこの世の上に輝きわたりますように。
そして、誇る者は主にあって自分を誇るように。

愛する主、イエス・キリスト様、
あなたが私の愛しい救い主、大祭司であられるおかげで、
私は満ち足りています。
私は、あなたを永遠に感謝し賛美したいと望んでいます。

アーメン。

[1]幼子イエス様を礼拝するために
三人の異邦人の博士たちが東の国より訪れた出来事を記念して、
異邦人への救い主の顕現を記念する祝日。
1月6日に祝われる。

「ルターの祈りの本」の目次へ


聖金曜日に

全能にして永遠なる神様、
あなたは私たちのために、
御子を十字架の死という凄惨な苦しみに渡されました。
それは、私たちを敵の支配から解放するためでした。

私たちがイエス様の受難を覚えて感謝し、
イエス様の受難を通して罪赦され、
永遠の死から解放されるように、
どうか私たちに恵みをお与えください。

イエス様が私たちの罪を十字架に運んでくださるために、
あなたはその独り子を惜しまれず、
私たち皆のために与えてくださいました。

私たちの心がこのように信じて、
決して怖がったり疑ったりしないように、
私たちに恵みをお与えください。

あなたは、私たちが聖餐式に参加するときに、
このイエス様の受苦を覚え、
宣べ伝えることを命じておられます。
あなたの身体と血のサクラメント(聖礼典)を用いて、
私たち自身のうちで、
あなたの贖いの御業が毎日実を結び、
あなたへの強い信仰と燃える隣人愛とが増していきますように。
あなたの御子イエス・キリストを通して祈ります。

アーメン。

「ルターの祈りの本」の目次へ


イースターに

全能の神様、あなたは、
御子の死によって罪と死を滅ぼし、
御子の復活によって
私たちに再び無垢な心と永遠の命を生み出してくださいました。
このすべてを私たちが心から信じることができるように、
どうか私たちに恵みをお与えください。

イエス・キリストを通して、私たちに聖霊様をお与えください。
私たちが、
イエス様の復活によって慰めを受け、信仰に堅く留まり、
あなたの御子、私たちの主を通して、
いつもあなたを賛美し、感謝するためです。

私たちが、
このような信頼と希望の中で日に日に成長し、
ついには救いに至るようになるために、
私たちに恵みをお与えください。

アーメン。

「ルターの祈りの本」の目次へ


昇天日に

愛する主なる神様、憐れみ深い天のお父様、
あなたの御子、私たちの救い主が
この昇天日に天へと昇られたことを信じている私たちに、
どうか恵みをお与えください。
それは、
私たちもイエス様と共に霊的に歩み、
霊的な環境で生きていくためです。

愛する主キリストの昇天を記念する聖日が、
どれほどの慰めをもたらしてくれる喜びのお祝いであるか、
私たちは知っています。
それゆえ、
私たちはあなたを敬い、感謝し、賛美し、こう祈ります。

この恵みの中で私たちを守ってください。
愛する御子イエス・キリストのゆえに、
私たちがこの世を去る時に、救いの喜びを与えてください。

私たちもイエス様のあとにつづいて、
救われて天国に入り、
イエス様と共に永遠の命と救いを
自分のものとして所有できるようになさってください。

愛する主よ。

アーメン。

「ルターの祈りの本」の目次へ


聖霊降臨日(ペンテコステ)に

聖なる神様、天のお父様、
あなたは今日、
御自分を信じる者たちの心を聖霊様によって照らし、
教えてくださいました。

私たちにも、同じ御霊を通して同じ理解が与えられ、
常に御霊の慰めと力を喜べるように、どうか恵みをお与えください。

愛するお父様、
私たちは心から聖霊降臨の祝日を喜びます。
これはユダヤ人の五旬節よりもはるかに素晴らしいものです。
この祝日には、
聖霊様がキリストを通してすべての肉の上に注がれました。

それは、私たちが、
福音を通して神様を知り、
聖霊様を通して身も心も聖とされて御心にかなう者となるためです。
そして、私たちが、
正しいキリスト信仰者の態度で祈ったり、説教を聴いたり、
落ち度のない模範的な生活を送ったりすることによって、
自らを聖霊様のきよめにふさわしい存在にしていくためです。

恵み深いお父様、
私たちがキリストを愛し、その御言葉に留まり、
そうして救いの幸せにあずかることができるように、
私たちに恵みをお与えください。

そうなるように、どうか聖霊様、
キリストを通して私たちを助けてください。

アーメン。

「ルターの祈りの本」の目次へ


三位一体主日に

全能なる永遠の神様、あなたは、
御自分が力と栄光に関して、
まったく等しい三位のペルソナにして
一体なる永遠の神様であることを
正しい信仰を通して知り、告白し、
そのようなお方としてあなたに祈ることを、
教えてくださいました。

私たちはあなたに祈ります。
父なる神、子なる神、聖霊なる神へのこの信仰の中に、
私たちを常に強く保ってください。

この三位一体の信仰に反することを教えるあらゆる試みから、
私たちを守ってください。

私たちが死にいたるまで、
この信仰に堅く清く留まりつづけることができるように、
私たち皆を助けてください。

永遠に活きて治められる主よ。

アーメン。

「ルターの祈りの本」の目次へ


宗教改革の祝日に

神様、あなたは、そのはかりしれない豊かな憐れみにより、
我らの主、御子イエス・キリストの聖なる福音を、
再び私たちに与えてくださいました。
このことで、あなたがほめたたえられますように。

この福音を通して、私たちは
あらゆる憐れみに満ちた方である天のお父様のことを
正しく知ることができるからです。

あなたは御子を通して、
信じる私たちにこの憐れみを豊かに注いでくださいました。

それまでの私たちは誰もが、
反キリストのおぞましい暗闇と誤謬の中にすっかり沈んでいたし、
この世の偶像に対する罪によって、
また、御心に反したすべての行いによって、
重く苦しい奴隷の仕事をさせられていたのです。

憐れみそのものであられる天のお父様、あなたは、
私たちのうちでこの福音の御業を開始してくださいました。

私たちはあなたに祈ります。
これからも、私たちにあらゆる完全な知恵と良心を賜りますように。
そのおかげで、私たちが心を堅く保てるようになりますように。
また、主を復活させた御霊が、
同じ力によって私たちのうちでも働いてくださることを、
そして、
聖なる御言葉を通して私たちに働きかける御子の全能の力によって
私たちが信仰をいただく時に、
私たちもまた御子を通して死者の中から復活させられていることを、
よくわかるようになりますように。

私たちが、敵とその地獄の狼のうなり声を恐れたりしないよう、
主が私たちに、 主キリストにあって、
互いに仕え合い心を一つとする愛を与えてくださいますように。

敵はあとしばらくの間は怒り狂いますが、
その終わりはもう近いのです。

父なる神様、
敵どもの策略から私たちの信仰を守ってください。
そして、私たちをあらゆる点で強めてください。
それにより、私たちの十字架と苦しみが、
救い主イエス・キリストの再臨を待ち望む、
救いの幸いに満ちた堅い希望へと昇華されていきますように。

イエス様が再び来られる時を、私たちは日々待ち望んでいます。

アーメン。

ルターの著作の翻訳者 高木賢(フィンランド・ルーテル福音協会)
このサイトに引用されているのは聖書新共同訳です。
聖書 新共同訳:(c)共同訳聖書実行委員会

Executive Committee of The Common Bible Translation
(c)日本聖書協会 Japan Bible Society, Tokyo 1987,1988

マルティン・ルター
1483年~1546年
神学者、牧師
宗教改革の創始者