最期の遺言

最期の遺言 (その1)

愛する私の神様、私はあなたに心から感謝します。
私がこの地上では「貧しい乞食」であるようにと、
あなたが望まれたのです。
ですから、
私は自分の死んだ後で
家や畑や土地や財産を妻と子どもたちに残すことができません。

あなたが彼らを私に賜ったように、
豊かで忠実な神様、
私は彼らをふたたびあなたにおゆだねいたします。

私を今まで養ってくださったのと同じように、
どうかこれからも彼らを養い、教え、守ってください。
あなたは孤児の父親、やもめの擁護者なのですから!

アーメン。

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最期の遺言 (その2)

愛する主なるイエス様、私はよく存じております。
たとえ私がこれまで最善を尽くして生きてきたとしても、
その私の生き方は依然として
滅びの宣告を受けるのが当然であるような生き方でした。
しかし、
あなたが私のために死なれ、
その聖なる傷から流れた血を私の上にふりかけてくださった、
ということに私は慰めを見出します。

私は御名によって洗礼を受け、御言葉を聴きました。
御言葉により、
あなたは私を招き、
恵みと命の約束を与え、
それを私が信じるように命じられました。
このことに信頼し、あれこれ疑うことなく、
私はこの世での人生を後にしたいと思います。

どのように神様が天国で私を裁くことになるか、
いったい誰が知っているというのでしょう。
私は今「赦免の判決」に守られて生きています。
その赦免とは、
神様が律法の裁きよりも高きところから、
すなわち天から、
律法の裁きに反して
「御子を信じる者には永遠の命がある」(「ヨハネによる福音書」3章16節)
と宣言されたことです。

アーメン。

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ルターの著作の翻訳者 高木賢(フィンランド・ルーテル福音協会)
このサイトに引用されているのは聖書新共同訳です。
聖書 新共同訳:(c)共同訳聖書実行委員会

Executive Committee of The Common Bible Translation
(c)日本聖書協会 Japan Bible Society, Tokyo 1987,1988

マルティン・ルター
1483年~1546年
神学者、牧師
宗教改革の創始者