御言葉を知るため

私たちは神様からの恵みを祈ります。それには三つ理由があります。
1)神様の聖なる御言葉を正しく学ぶために。
2)御言葉にしたがってキリスト信仰者にふさわしい生活を送るために。
3)御言葉に信頼して、救いの喜びにつつまれながら死ぬために。

 

 神様の御言葉を知るための祈り(その1)

愛する神様、あなたは愛する御子を通してこう言われます、
「御言葉を聴く者は幸いです」。

憐れみ深い永遠の神様、
どれほど私たちは絶えることのない喜びの心を持って、
あなたを救い主として賛美し感謝し敬うべきなのでしょうか。
地の虫けらのような存在である私たちに対して、
あなたは本当に親切で、さらには父親の愛に満ち、
最も大きく最も大切なこと、すなわち永遠の命と救いについて、
私たちと共に語り合ってくださるのですから。

御子を通して私たちが御言葉を聴くようにと、
優しく導いてくださるのを、あなたはお止めになりません。
あなたはこう言われます、
「神様の御言葉を聴いてそれを心に保つ者は幸いです」。
まるで私たちが御言葉を聴くことは、
あなたにとっても必要なことであるかのようです。
塵と灰に過ぎない私たち人間こそは、
その何千倍もあなたの救いの御言葉を必要としています。
ああ、あなたの善性と忍耐はなんと大きく不思議なのでしょう!

逆に、
御言葉を聴こうとはしないばかりか、
御言葉を傲慢にも見下して迫害し侮辱する者たちの、
感謝に欠け暗闇に閉ざされた心は、いかにひどいことでしょうか。

ああ、神様、貧しく惨めな者たち皆にとってのお父様、
どうか私たちに恵みを与え、
あなたの真理によって私たちを照らしてください。
あなたに賛美と栄光と感謝が永遠にありますように。

アーメン。

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 神様の御言葉を知るための祈り(その2)

すべてにおいて憐れみ深い父なる神様、
いつでも私たちはあなたに大いに感謝します。
溢れる豊かな恵みにより、あなたは私たちに御言葉の宝を賜りました。
この宝の中に、
私たちは愛する御子を知るための「手段」をいただいています。
これは、
私たちが永遠の命をいただくという
神様の子どもとしての特権をあらかじめ保証するものであり、
私たちの救いの幸いでもあります。
この救いは、天国でいただけるものであり、
偽りのない信仰と燃える愛の中に終わりまで堅く留まる者
皆に対して用意されているものです。

それゆえ、私たちは望みをもって祈ります。

憐れみ深いお父様、
この信仰と愛の中に私たちを保ち、
すべての選ばれた人々と共に、全き者としてください。

私たちが、
愛する御子、 主イエス・キリストと同じ心をいただいて、
「御子と似た者」となれるように、どうかお計らいください。

アーメン。

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 神様の御言葉を知るための祈り(その3)

愛する神様、私たちに恵みをお与えください。
この御言葉の宝は、
ダヴィデやパウロたちが与っていたのとまったく同じものです。
彼らと同様に私たちも、
この宝を世のあらゆる善き物に勝る貴きものとして
いただくことができますように。

あなたは、恵みにより、
他の何千人もの人々に先んじて、私たちにこの宝を与えてくださいました。
私たちがこのことについて、あなたに心から感謝できますように。

あなたは私たちを、
この宝のことをまったく知らない
イスラム教徒やユダヤ教徒やその他の偶像礼拝者と同様に、
さすらわせておくこともできたはずです。

また、この宝を侮り裁く者に対するのと同様にして、
私たちの心をかたくなになるままに放置しておくこともできたはずです。

しかし、まったくの恵みから、
あなたは私たちを緑の草原に連れて行き、
よい牧草地と新鮮な水をゆたかに用意してくださいました。

このことについて、
私たちはあなたにますます感謝しなければなりません。

愛する主イエス・キリスト様、
あなたの完全なる知恵と知識を通して、
私たちを整え、強め、永遠の御国に完全に根付かせてください。
あなたに賛美と感謝とが永遠にありますように。

アーメン。

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ルターの著作の翻訳者 高木賢(フィンランド・ルーテル福音協会)
このサイトに引用されているのは聖書新共同訳です。
聖書 新共同訳:(c)共同訳聖書実行委員会

Executive Committee of The Common Bible Translation
(c)日本聖書協会 Japan Bible Society, Tokyo 1987,1988

マルティン・ルター
1483年~1546年
神学者、牧師
宗教改革の創始者