ルカによる福音書 14章26節

「もし、だれかがわたしのもとに来るとしても、父、母、妻、子供、兄弟、姉妹を、更に自分の命であろうとも、これを憎まないなら、わたしの弟子ではありえない。」(ルカによる福音書 14章26節)

知恵の秘密は、
自分を正しく徹底的に知り、
それゆえ自分を憎み、
あらゆる義を
自分自身からではなく
神様から捜し求めることにほかなりません。
 
私たちは「古い人」に
びんたを食らわし、茨で拷問し、針で刺しぬいて、
ついにはそれが頭を垂れて
死に至るようにしなければなりません。

もしも「この世的な欲望」が
部屋の壁に描かれているのだとしたら、
それをはずすことができることでしょう。
もしもそれが赤い服に縫い込まれているのだとしたら、
それを脱いでよそ行きの服を着込むことができるでしょう。
もしもそれが髪の毛の中で大きくなるのだとしたら
髪の毛を刈り取ることができるでしょう。
もしもそれがパンの中にあるのだとしたら、
パンの代わりに野菜を食べることができるでしょう。
しかし、今それはあなたの心の中にあり、
あなたはそれに完全に依存しているのです。
それを携えずにどこに行けるというのですか?
どのような服を着たとしても、
あなた自身がその服の中にいるでしょう。
何を食べても飲んでも、
あなたはいつでもそこにいるわけです。
誘惑はあなた自身の中にあります。
ですから、あなたはまず
自分自身から逃げなければならないのです。

この世の慣習や自分の理性や思いの導きに従ったりはせず、
自分の思いや意志に抵抗し、
理性や意志が命じるのとは異なることを行いながら
苦難を甘受する、という姿勢が必要です。
それは、
私たちがこの世とは異なる者であり、
この世と反対のことを行うためです。
そのようにして私たちは、
日々思いを変え、新たにされていくのです。
   
自分自身を叱りもせず、責めもしないままで、
神様を敬い神様の中で活きることは、誰もできません。
 
この世での人生は、
「古い人」を憎み「新しい人」の命を捜して
慕い求めることにほかなりません。
 
私は神様によってあなたにお願いします。
あなたはふだんは、
あらゆる点において自分自身を守っているのですから、
自分自身と戦うようにしなさい。
なぜなら、
サタンにあなた自身に対する武器をたくさん与えてしまうときに、
「あなた」こそがあなた自身の最悪の敵となるからです。

(マルチン・ルター、信仰生活アドヴァイス)

ルターの著作の翻訳者 高木賢(フィンランド・ルーテル福音協会)
このサイトに引用されているのは聖書新共同訳です。
聖書 新共同訳:(c)共同訳聖書実行委員会

Executive Committee of The Common Bible Translation
(c)日本聖書協会 Japan Bible Society, Tokyo 1987,1988

マルティン・ルター
1483年~1546年
神学者、牧師
宗教改革の創始者