マタイによる福音書 5章39後半~41節
だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせなさい。だれかが、一ミリオン行くように強いるなら、一緒に二ミリオン行きなさい。(マタイによる福音書 5章39後半~41節)
これは、あなたは自分で復讐するのをこらえて苦しみを甘受し、天の裁き主を待ち望まなければならない、という意味です。神様は、この世の公的権力がともすると陥りやすい寝惚けた不真面目な態度で職務を遂行したりはなさいません。しかしここでキリストは、あなたがひどい扱いを受けたときにあなたに沈黙を命じてはおらず、公的権力に苦情を伝えることを禁じてもいません。
あなたはこう訊くかもしれません、「私にひどいことをした者に対して私が訴訟を起こすのは、私が復讐を要求していることになるのではないでしょうか」。答え、「そのとおり。法律と秩序に基づいて、あなたの隣り人に対して怒りをもたずに行うとき、あなたは正しく行っています。なぜなら、それはあなた自身の復讐ではなく、神様が定められた神様の復讐だからです。それは、誰にも躓きを与えないようにし、各々が自分のものを守るためです」。
(マルチン・ルター、宝石箱)
もしも人殺しが森で、あるいは邪悪なならず者が通りで、私に襲いかかろうとして、私がそのとき警察など公的権力に助けを求めることができない場合には、私は彼らが私を傷つけ殺すままにまかせるべきなのでしょうか?いいえ。なぜなら、公的権力は各人に暴力や悪意から自分の命を守る権利を与えているからです。
(マルチン・ルター、宝石箱)