ルカによる福音書 15章18節

 私は復活して、私の父の御許に行きます。(ルカによる福音書 15章18節)

自分の中には何もよいことを見出さない、
慰めのない魂の持ち主は、
実は、神様にとって最高のささげものなのです。
とりわけ、その人が神様の恵みを叫び求める時には。
神様が喜んで聴いてくださるのは、
人が神様の憐れみを渇望し、
神様に助けを叫び求めることだけだからです。

あなたは神様に叫び求めることを学ばなければなりません。
うなだれて座っていてはいけないのです。
あなたの考えや心配があなたをかき乱し引き回した挙句、
自分がどれほどつらい状態にあり、どんなに惨めな人間か、
ということしか見えなくなったりしないように。
それは怠け者の態度です。
ひざまずいて、目と手を天に向け、
詩篇か、主の祈りを祈りなさい。
神様の御前にあなたの今の苦しみを携えて行き、
泣いて、嘆いて、神様に助けを求めなさい!

自分の弱さと罪を知れば知るほど、
神様を畏れる人は
それだけ熱心に神様に叫び、祈ります。
罪の意識と恐れが止まないときには、
祈りも、神様に向けてため息をつくことも
止むことがないからです。

すでに恵みの意味を知っている信仰者が、
恵みを祈り求めるのは、どうしてでしょうか。
彼らは恵みについて何かを味わい、
理解することができました。
まさに恵みをこのように味わったことにより、
彼らはさらにもっと恵みを渇望するようになります。
心は、御霊の初穂をいただいたときに、
自らそれで満足することはなく、
さらに完全な御霊を求めるようになるからです。

私はあなたの御許に来ることができません。
それゆえ、私の神様、
立ち上がって、あなたが私のもとに来てください。
そして、私をあなたの御許に連れて行ってください。
ここで「立ち上がる」というのは、
「神様が人となられた」という、
最高に愛らしく恵みに満ちた出来事をさしています。
神様は、私たちを立ち上がらせるために、
私たちのもとにきてくださったのです。
そして神様は
御自分の民、シオンを憐れんでくださったのです。

(マルチン・ルター、信仰生活アドヴァイス)

ルターの著作の翻訳者 高木賢(フィンランド・ルーテル福音協会)
このサイトに引用されているのは聖書新共同訳です。
聖書 新共同訳:(c)共同訳聖書実行委員会

Executive Committee of The Common Bible Translation
(c)日本聖書協会 Japan Bible Society, Tokyo 1987,1988

マルティン・ルター
1483年~1546年
神学者、牧師
宗教改革の創始者